黒幕系ムーブはひっそりと ~なお、他人の配信にてバズり過ぎて魔王になった模様~

★☆☆
オススメ度
ジャンルローファンタジー
話数88話 (連載中)
作品公開日2024/06/01
なろうURLなし
カクヨムURLhttps://kakuyomu.jp/works/16818093077550776639
作者白神 怜司
※記事作成時の情報です。
※オススメ度の基準はこちらのページをご参照ください。

作品概要

ダンジョンのある現代にて、背が低い、顔が中性的、筋肉がつかない主人公――〝彼方 颯〟は、そんな自分受け入れ、明後日の方向である『なんかミステリアスでクソ強いし、見た目の割にやたらと達観していて年齢不詳な、どこか人を食ったような謎のショタキャラ』枠の確立へと向けて邁進する。
しかし、初手からムーブに失敗した結果、他人の配信にて大バズりに巻き込まれ、『ダンジョンの魔王』と呼ばれるようになり、さらにはダンジョン側の運営陣によって〝進化〟の対象となった結果、本物の魔王になる事に。
挙句の果てにはダンジョン運営陣の片棒を担ぎつつ、それでも己のムーブ、目標を貫くために自由気ままに行動し続ける。

この物語は、ダンジョンを利用して目的を果たそうとする運営陣と、そんな運営陣の片棒を担ぎつつも、己のやりたいムーブのためならば世界にどんな影響が生まれようと気にもしないプチサイコ(?)系主人公。
そしてそんな運営陣+主人公のせいで混沌とし始める世界の物語である。

黒幕系ムーブはひっそりと ~なお、他人の配信にてバズり過ぎて魔王になった模様~ より引用

思ってた俺TUEEムーブとは違う方向だけど、結果オーライ!な作品です。

本作品をオススメできる人

  • 主人公がラスボスの作品を探している人
  • クトゥルフ神話要素が入った作品が好きな人

読んでみての感想

1、感想

影の実力者ムーブに憧れる主人公が、意味深な言動をとった結果人類の敵である魔王のようになってしまう物語です。
なお、本作品は勘違いものではなく、ちゃんと主人公は魔王的な存在になります。

最初の目的である「正体不明な実力者」を演じるにも技量が必要なこともあり、物語開始時点で主人公はすごく強いです。
そこから特殊条件を満たし、晴れて人外へステップアップ!
暗躍ムーブ?あれれ?と思う間も無い人外化。過程が後からついてきます。

また、本作は人間が抱く負の感情への解像度が高いです。
SNSでの無責任な投稿等、主人公は現代社会を生きる人間の悪意を利用し、状況をより混沌へと誘います。

TUEEムーブの塩梅がうまくできており、気持ちの良いカタルシスを感じることができる作品です。

2、印象に残った点

一部テンプレ展開へのアンチテーゼが見受けられ、非常に面白かったです。
具体的には「敵対組織を野放しにする」ことの無責任さを描いています。

例えば、敵対組織の末端を中途半端に退治して満足し、後々に近しい人間へと被害が出てから激昂する主人公の姿。

なろう系に関わらず、皆さんもどこかで見た覚えがあるのではないでしょうか?
加害者が悪いのは間違いありませんが、自身が甘い判断をしたこともまた事実。

そんな甘さを本作の主人公は持ち合わせていませんので、キッチリ・容赦無く敵対者を潰しに行きます。

3、構成・スタイル

主人公の一人称視点と三人称視点が場面によって変わる作品です。

主人公のキャラに癖があり、口調も崩れていることが基本なので、
一人称視点時は読む人によって癖を感じてしまいやすいかもしれません。

4、キャラクター

大前提として、こっそり強くなって強キャラムーブしたい人は変わっています。

そんな変わった主人公や、その周りも個性豊かな登場人物が多い作品です。
個性豊かですが、あからさまにストレスを与える存在はいないので安心して読み進むことができます。

5、世界観・テーマ

ローファンタジーにクトゥルフ神話要素が組み合われており、ファンタジーが強めな作品です。

クトゥルフ神話の知識がなくとも物語においていかれることはありませんが、クトゥルフ神話の知識があった方がよりこの作品を楽しめると思います。

好みの分かれる要素

  • 神格の扱い

本作はクトゥルフ神話を知っている人からすると、神格がとても友好的です。
外なる神の存在は、外なる神であってほしい人には向いていません。

なお、この件は作品の後書きでも触れられており、「この作品内でのキャラクター」として描かれていることを前提に読むことを推奨されてます。
そもそも原作に忠実にすると人類滅亡なので、各々で折り合いをつけましょう。

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